ナチュログ管理画面 釣り 釣り 北海道・東北 アウトドア&フィッシングナチュラムアウトドア用品お買い得情報

2016年03月30日

声のようだっ

「あれもおれだ。自暴自棄だったからな。おまえは本当に運のいいやつだ。考えられることは何もかもやってみたが、それでも殺せなかった」
「大聖堂で、毒を塗った短剣で襲ってきたレンドー人もか」
 ペレンは驚いた顔になった。
「その件は知らない。本当だ。おれたちは二人ともレンドー国にいたことがある。レンドー人というのがどれほど頼りにならないか、二人ともよく知っている。誰かほかの人間だろう――マーテル自身が仕組んだのかもしれない」
「どうして気が変わったんだ、ペレン」スパーホークは悲しげに尋ねた。
「マーテルに握られていた弱みがなくなった。イドラが死んだんだ」
「かわいそうに」
「おれはそうは思わん。イドラは事情に気がついたらしく、父親の屋敷の礼拝堂で一晩祈ったそうだ。そして日の出とともに、心臓に短剣を突き立てた。すべてを記した手紙を召使に持たせて、ここに届けさせたんだ。その男はマーテルの軍勢が街を包囲する直前に到着した。イドラはもう自由だし、その魂も安全だ」
「だったら、どうして毒を?」
「おれはイドラのあとを追う。マーテルはおれの名誉を奪ったが、愛までは奪えない」ペレンの身体が狭い寝台の上で硬直した。「まったく、よく効く毒だ。名前を教えて推薦したいところだが、小さき母上は油断ならんからな。少しでも隙を見せたら、石だって甦らせかねない」ペレンは秘儀の教母に微笑みかけた。「おれを許してくれるか、スパーホーク」
「許すも許さんもない」スパーホークは声を詰まらせ、友人の手を握りしめた。
 ペレンは嘆息した。
「おれの名前はパンディオン騎士団の歴史から抹消され、侮蔑とともに記憶されるんだろうな」
「おれがそんなことはさせない。おまえの名誉は守ってやるぞ」スパーホークは約束のかわりに、さらに強く手を握りしめた。
 セフレーニアが寝台の反対側の、もう一方の手を握る。
「そろそろ終わりだな、願わくは――」ささやくようにそう言うと、ペレンは静かになった。
 セフレーニアの悲嘆の声は、傷ついた子供の泣きた。教母はペレンのぐったりした身体を抱き寄せた。
「そんな時間はありません!」スパーホークの鋭い声が飛んだ。「いできますか。クリクを呼んできますから」
 セフレーニアは驚いたように騎士を見た。
「ペレンに甲冑を着せなくてはなりません。それからクリクとわたしで、城壁のすぐ内側の街路に遺体を運びます。胸にクロスボウの矢を打ち込んで、街路に放り出すんです。そのうちに誰かが見つけて、みんなペレンが敵の矢にやられたと思うでしょう」
「なぜそんなことを?」
「ペレンは友人でした。名誉を守るす」
「あなたを殺そうとした人ですよ」
「違います、小さき母上。わたしを殺そうとしたのはマーテルです。やつはそのために、ペレンを道具として利用した。悪いのはみんなマーテルなんです。いずれ近いうちに、あいつとははっきり決着をつけるつもりです」しばらく言葉を切って、「あの仮説は考え直さなくてはなりませんね。これで大きな穴があいてしまった」そのとき毒の短剣を使ったレンドー人のことを思い出し、「あるいは、ほかにも暗殺者がいるということなんでしょうか」



最新記事画像
で進む馬のうしろで
すぐセフレーニアに近
を失うとともに発
その話をすることさ
ブログをもっと更新しようとか
ブルーの深い闇に落ち
最新記事
 クレジットカードの料金はいくらですか? (2023-05-17 00:47)
 自分の子供が知的障害を持っているかどうかはどうすればわかりますか... (2023-05-08 05:54)
 大人の体温は37.5度? (2023-03-20 07:19)
 子供が精神疾患と診断されるのは何歳からですか? (2023-03-13 06:38)
 送料は誰が負担するの? (2023-03-06 12:52)
 なぜアイスピックは武器として使われるのですか? (2023-02-20 00:14)

Posted by childishgut at 18:00│Comments(0)
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。

削除
声のようだっ
    コメント(0)