2016年02月23日
にすさまじい欲望を示
「少し前に、旅の鋳掛《いか》け屋からおかしな話を聞きました。スティリクム人がランデラ湖の古戦場を、何世紀にもわたって掘り返しているというのです。宝を探しているの鑽石能量水機だとか。スティリクム人の行動としては、いささか妙な気がします」
「そのとおりです」老人は感情のこもらない声で答えた。「われわれに宝など必要ありません。それ以前に、死者の瞑《ねむ》る土地を荒らすようなことをするわけがありません」
「だろうと思いました。そのスティリクム人たちの正体ですが、見当はつきませんか」
「あれはわれわれの一族ではありません。われわれの忌避する神に仕える者たちです」
「アザシュですか」スパーホークが思いつきを口にすると、老人はかすかに青ざめた。
「その神の名を口にするつもりはありませんが、わたしの考DSE數學えはそのとおりです」
「つまり、湖の周囲を掘り返しているのはゼモック人だと?」
老人はうなずいた。
「ゼモック人がいることは何世紀も前から知っていました。穢《けが》れた民なので、われわれは近づきません」
「まったく同感ですよ」ティニアンが言った。「そのゼモック人たちが探しているものの見当はつきませんか」
「オサが神に捧《ささ》げようと切望している、古代の護符《タリズマン》です」
「さっきの鋳掛け屋の話だと、このあたりの者たちは莫大な宝が埋まっていると信じているそうですが」
老人は微笑んだ。
「エレネ人は話に尾鰭《おひれ》をつけます。ゼモック人があれだけの労力を注ぎこんでたった一つの品物を探しているとは、信じることができないのでしょう。もっとも、そのたった一つの品物の価値は、全世界の宝の価値をすべて合わせたよりも大きいのですが」
「そう考えれば納得がいくな」とカルテン。
「エレネ人は黄金や宝石といったものします。何を探しているのか自分たちでもわかっていないということは、じゅうぶんにあり得るでしょう。巨大な宝箱を期待しているのかもしれませんが、そんなものは見つかるはずがありません。すでに誰かがその品物を見つけて、価値もわからないままに打ち捨ててしまった可能性さえあるでしょう」
「いいえ、ご老人」セフレーニアが首を横に振った。「今おっしゃった護符はまだ見つかっていません。それが地上に現われれば、巨大な鐘を鳴らしでもしたかのように、全世界にそれと知れるでしょう」
「おっしゃるとおりかもしれません。みなさんもその護符を探して湖へおいでですか」
「そのつもりです。それにわたしたちの探求はいささか急を要するものなのです。何はともあれ、オサの信仰する神に護符が渡ることだけは防がねばなりません」
「ではわたしの信仰する神に、みなさんの成功を祈ることとしましょう」老人はスパーホークに目を戻した。「エレネ教会の長はどのようなご様子ですか」
「総大司教は老齢で、健康も衰えています」スパーホークは正直に答えた。
老人は嘆息した。
「それを恐れていたのです。スティリクム人の祈りなど受け入れる方ではないでしょうが、それでもわたしの神に長寿をお祈りしておきましょう」
「|かくありますように《アーメン》」アラスがつぶやく。
白髭のスティリクム人はわずかに言いよどんだ。
「そのとおりです」老人は感情のこもらない声で答えた。「われわれに宝など必要ありません。それ以前に、死者の瞑《ねむ》る土地を荒らすようなことをするわけがありません」
「だろうと思いました。そのスティリクム人たちの正体ですが、見当はつきませんか」
「あれはわれわれの一族ではありません。われわれの忌避する神に仕える者たちです」
「アザシュですか」スパーホークが思いつきを口にすると、老人はかすかに青ざめた。
「その神の名を口にするつもりはありませんが、わたしの考DSE數學えはそのとおりです」
「つまり、湖の周囲を掘り返しているのはゼモック人だと?」
老人はうなずいた。
「ゼモック人がいることは何世紀も前から知っていました。穢《けが》れた民なので、われわれは近づきません」
「まったく同感ですよ」ティニアンが言った。「そのゼモック人たちが探しているものの見当はつきませんか」
「オサが神に捧《ささ》げようと切望している、古代の護符《タリズマン》です」
「さっきの鋳掛け屋の話だと、このあたりの者たちは莫大な宝が埋まっていると信じているそうですが」
老人は微笑んだ。
「エレネ人は話に尾鰭《おひれ》をつけます。ゼモック人があれだけの労力を注ぎこんでたった一つの品物を探しているとは、信じることができないのでしょう。もっとも、そのたった一つの品物の価値は、全世界の宝の価値をすべて合わせたよりも大きいのですが」
「そう考えれば納得がいくな」とカルテン。
「エレネ人は黄金や宝石といったものします。何を探しているのか自分たちでもわかっていないということは、じゅうぶんにあり得るでしょう。巨大な宝箱を期待しているのかもしれませんが、そんなものは見つかるはずがありません。すでに誰かがその品物を見つけて、価値もわからないままに打ち捨ててしまった可能性さえあるでしょう」
「いいえ、ご老人」セフレーニアが首を横に振った。「今おっしゃった護符はまだ見つかっていません。それが地上に現われれば、巨大な鐘を鳴らしでもしたかのように、全世界にそれと知れるでしょう」
「おっしゃるとおりかもしれません。みなさんもその護符を探して湖へおいでですか」
「そのつもりです。それにわたしたちの探求はいささか急を要するものなのです。何はともあれ、オサの信仰する神に護符が渡ることだけは防がねばなりません」
「ではわたしの信仰する神に、みなさんの成功を祈ることとしましょう」老人はスパーホークに目を戻した。「エレネ教会の長はどのようなご様子ですか」
「総大司教は老齢で、健康も衰えています」スパーホークは正直に答えた。
老人は嘆息した。
「それを恐れていたのです。スティリクム人の祈りなど受け入れる方ではないでしょうが、それでもわたしの神に長寿をお祈りしておきましょう」
「|かくありますように《アーメン》」アラスがつぶやく。
白髭のスティリクム人はわずかに言いよどんだ。
Posted by childishgut at 12:10│Comments(0)